ジュリアン・レイジの新作 Modern Lore はすでにアメリカーナの名作である
ジャズギターの「天才」「異端児」と言われいるジュリアン・レイジが放つ新作。すでに各方面で評価が高い。彼が取り組んできた古き良きアメリカ音楽への旅と,現代への帰還が,極めて高いレベルで結実している。
中身は,どう考えても,ギター一本で作られた過去作「World's Fair」の3ピース版,というのが適切だろう。
音だけでも十分素晴らしいのだが,ビデオをみるとその素晴らしさにさらに感動する。
Julian Lage - "Look Book" (Live in Nashville)
映像のクオリティが高く,楽しげに演奏している様子が伝わってくる。
技術的に,世界トップレベルであることは間違いないだろう。単なる技巧だけでなく,表現力・音楽性が素晴らしい。曲が良い。単に懐古趣味ではなく,間にはいるフレーズは現代的であり,うまく曲に馴染んでいる。
「ジャズじゃない」という意見も多いようだが,単なるアメリカーナとして聴けば,とても優秀だし,とにかく聞いていて心地よい作品だ。
「歌い手」出身の majiko のニューアルバム Aube :雑感
いわゆる「歌い手」出身の歌手である。最近のJPOPではキャリアが多様化している。一つはアニソンで,市民権を得ているかどうかはともかく,売り上げでは多くを占めている。「歌うま」番組で有名になった歌手も多い。「歌い手」もその一つで,majikoはその一人。
「歌い手」に関しては何の知識もないので,あくまで,本作も,単なるJPOP歌手の一人としてきいている。
で,このアルバム聞く限り,歌手として相当な実力と才能があると感じた。声,音程,リズム感どれをとっても音楽性が高く,技量がある。様々なスタイルに合わせる柔軟性もある。「音楽性の高い」歌い方をする。
でも,それだけではない。歌手として大事なのはそれ以外の「何か」をリスナーに感じさせられるかどうか,だろう。それが何か,今は言葉にできないのだが,このアルバム全体を通じて,特別なものを感じる。ただ単に「歌が好きで,色々歌っています」以上のストーリーや,歌う必然性のようなもの,そしてその結果として生じる魅力を感じる。
「歌い手」に歌の上手い人はたくさんいると思うが,誰もが majiko のようになれるとは限らない。かなり特別だし,最初から音楽家として高いレベルにあり,しかも,現在進行形で進化している,のだろう。
色々調べてみると,「母親がボーカリスト・ボーカルトレーナー」という記述があって,やっぱり音楽エリートだな,それらしい音楽性だと感じた。